遺伝子の変異で人間は話せるようになった？

　人間が言語を話すことができるのは、ある一個の遺伝子のおかげではないかという研究が発表された。
　先天性言語障害を調べていた結果、FOXP2という遺伝子に欠陥があることがわかったうえ、発達性不全失語症においても同じくFOXP2という遺伝子が変異しているケースがあるという。
　そこで人間にもっとも近いとされるチンパンジーFOXP2の遺伝子を調べていた結果、この遺伝子にある二つの部分が異なっていることに気がついた。
　そのため、チンパンジーと人間が話すことに関する違いは、FOXP2の違いによるものではないかとの説が浮上した。
　FOXP2はまた、チンパンジーと人間に対しての働き方が異なっており、人間の場合は、高度な認知機能と言語をつかさどるだけではなく、認知機能と運動協調性に関与しており、発話の神経運動だけでなく、身体的な構造にも関係もあるのではないかとみている。
　そのため、チンパンジーが人間と同じ脳をもったとしても、FOXP2の遺伝子の影響で、人間のように話すことはできないのだという。
　FOXP2の遺伝子の影響を解明することにより、言語障害などに対する治療法も確立させることができるかもしれない。
　ほんの少しだけの違いで、遺伝子の影響力がまったく別の方向に進むのだから、生命って本当に不思議なものですね